28人が本棚に入れています
本棚に追加
交渉していた際、新聞部の部長に率直に尋ねられた。嶺歌はただ友人を傷付けた報いを与えたいとそう答える。
『本人の復讐でもないのにどうしてそこまでするのだろう。確かにこの記事を発行すれば彼は報いを受ける事になるだろうね。だけどここまでする必要はあるのだろうか』
新聞部の部長は簡単には頭を頷かせてはくれなかった。
自分自身ではなく、所詮は他人である者の為だけになぜそこまで真剣になれるのか理解できないようだった。
しかし彼のこの疑問は嶺歌にも理解できる。ただ言えるのは、そう思えるのは自分が和泉嶺歌という人間だからだ。
もはやそれ以外に理由はない。悪は悪。全ての悪を成敗できるとは思っていないが、自分の目の前にある悪を野放しにしておく事だけは嶺歌の信念が許さない。
ましてや大切な友人に関わる事なのだ。竜脳寺に復讐をする事は、誰に言われようと止める事は出来ない。
(だから魔法少女になれたんだし、これがあたしなんだよね)
嶺歌は目の前の新聞部部長に証拠の写真を突きつけ、言葉を放った。
最初のコメントを投稿しよう!