28人が本棚に入れています
本棚に追加
見て見て! と目をキラキラ輝かせながら嶺璃が見せてきたのはリボンがあしらわれた可愛らしいブレスレットだった。
ちょうど嶺璃くらいの年頃の子どもが喜びそうなデザインである。キラキラした女の子と言うのは形南の事で間違いないだろう。
いつの間にこのようなものを入手したのだろうと思いながらも嶺歌は心底嬉しそうにブレスレットを手首につける嶺璃の姿を見て笑みをこぼした。
「良かったじゃん、ちゃんとお礼言った?」
「もっちろん! そしたらキラキラの女の子とでっかい優しい執事さんが笑顔でわたしの頭撫でてくれた!」
その嶺璃の言葉を耳にして嶺歌はここまで運ばれた経緯を思考した。意識はなかったものの、なんとなく昨日自分が誰かによって運び込まれたという感覚を身体が覚えていた。
がっしりと支えられ、心地良い運搬だったような気がする。今の嶺璃の発言も加えると、どう考えてもあれは兜悟朗が運び込んでくれたという事に違いないだろう。ここまで彼に担がれてきたのかと思うと急激な羞恥心に駆られた。
記憶にないとはいえ、兜悟朗に抱えられてきた自分を想像すると嶺歌の頭は爆発しそうだった。
「れかちゃんお顔赤いよ〜?」
「……なんでもないよ! さ、ご飯食べに行こ」
嶺歌は誤魔化すように嶺璃の背中を押しながら部屋の外に出る。とりあえず朝の支度をしてから形南へ連絡をしよう。
そう思い嶺歌は手早く家事を済ませるのであった。
最初のコメントを投稿しよう!