第十八話『翌日』

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「おはよー! 昨日は色々してくれたみたいでほんとありがとう! 妹にもプレゼントしてくれたって聞いたけど」  朝の支度が全て終わり、自室へ戻ると早速スマホから形南(あれな)へ電話をかける。形南は案の定、すぐに電話に出てくれていた。 『こちらこそ本当に感謝しかありませんの。嶺歌、急ですが本日のご予定は空いていまして? 妹様の事もお話ししたいですわ』 「空いてる空いてる! あたしも色々話したかったからタイミングめっちゃいい!」  嶺歌(れか)は形南の誘いに乗るとそのままこの後会う約束を取り交わした。形南が自宅前まで迎えにきてくれるようだ。せっかくの厚意なのでお言葉に甘えることにした。  形南と会う時間までは少々厄介ごとに巻き込まれていた。母に昨日は何があってあのような形で自宅に戻ってきたのか説明をしろとしつこく問われたのだ。  確かに自分の娘が眠ったままの状態で一度しか会った事のない男性に担がれ、見知らぬ女性と共に自宅に運んできたら驚くのは分かる。  ゆえにそう尋ねてくる母の気持ちは理解できるのだが、魔法少女の存在を隠している以上は説明を全て行うのは難しい。  適当に誤魔化して何とか事なきを得ていた。  数時間後になると嶺歌の家のインターホンが鳴り響く。 「嶺歌! 回復なさったようで安心ですの!」 「あれなも元気そうだね! あたしも安心だよ」  急いでエントランスに向かった嶺歌は私服姿の形南と一日ぶりに再会した。  形南も心なしか晴れ晴れとした表情をしており、それが昨日の一件と関連しているのだと思い付き納得する。 (うん、やっぱり良かった)  自分が行った行動が独りよがりのものでなくて本当に良かった。魔法少女として、何より形南の友人として自分は役目を果たせたのだ。そう思えた事が嬉しい。 「嶺歌さん」
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