第十八話『翌日』

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 多くのお付きの人達から感謝の意を示された嶺歌(れか)はその後も数多くの豪華な料理にデザートまで振る舞われ、美味しい料理の世界に浸っていた。形南(あれな)と談笑を続けながら楽しい時間を過ごしていく。  嶺歌は途中気になっていた事を尋ねた。嶺歌が竜脳寺(りゅうのうじ)等に初めて対面した日、形南は嶺歌に見せたいものがあると言っていた件に関してだ。  あの日以降、それどころではなくなっていたため結局聞けずじまいであった。  それを彼女に話すと形南は嬉しそうな顔をして「覚えてくださっていたのですね」と笑みを溢す。まるで花が咲きそうなその形南の笑みは、嶺歌の気持ちを和らげた。 「実は嶺歌の魔法少女姿を目にした日から、(わたくし)も魔法少女になりきりたいという思いが強くありましたの。ですから特注で衣装をデザイナーに作らせたのですのよ」  形南はそう言うと兜悟朗(とうごろう)に合図を出し、彼は素早くスーツケースを持ち出すとそこから目を見張るほどに眩くて可愛らしい衣装が現れた。嶺歌はあまりの豪華なその衣装に思わず目を輝かせる。 「ええっ! めっっっちゃ可愛い!!! 凄いね!! 魔法少女だよこれ!!!」  素直に思った感想を隠さず口に出すと形南はとても嬉しそうに口元を緩め、頬に手を当ててうふふと声を上げた。形南も自慢の衣装なのであろうその服を見て嶺歌は想像をしてみる。  形南が着用して自分と二人で並んだその姿は、とても様になっており、自身の心をワクワクさせていた。 「せっかく作ったんだから一緒に着て写真でも撮ろうよ!」
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