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下品な笑いというのも見た事はなかったが、彼女の笑い方は今まで見てきた誰よりも品のある笑い方だ。すると形南は再び言葉を口に出した。
「私は高円寺院家の一人娘でございますの。金銭で動かせない情報はないのですよ」
「えっ……?」
驚く嶺歌を横目に形南は言葉を続ける。財閥と言えど魔法協会の機密情報を知り得ることは不可能なはずだ。
それは一度も疑った事のない事柄だった。しかし今、形南はそれを否定している。魔法協会はそんな簡単に口を開く組織であったのか。
疑う事は良くないと思いながらも彼女は現に魔法少女の存在を認知している。
嶺歌は次第に魔法協会への信頼を失いかけていた。だがそれを察したのか否か、形南は再三の声を上げ始めた。
「魔法協会が決して軽挙な訳ではないのですのよ。誤解なきようきちんと説明いたしますわ」
そう言って再びこちらに笑みを向けてくる。
不思議なお嬢様だ。彼女はお嬢様として疑いようのない風格のある雰囲気を放ちながらも、時には子どものような無邪気な様子も見せてくる。
まだ出会ったばかりではあるものの形南は総合的に見て掴み所のない不思議な女の子に感じられた。
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