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「現像して近々お渡ししますね」
楽しげにそう口にする形南に嶺歌はありがとうとお礼を告げた。そして撮影会を終えた二人は満足げにソファに腰を掛け休憩を取る。
「お疲れ様で御座います。紅茶をお入れしました。どうぞお召し上がりください」
そう言ってすぐに飲み物を兜悟朗が用意してくれていた。彼の気の利いた行動力には、何度感心しても足りない気がする。
嶺歌は兜悟朗にもお礼を言いながら形南と休息も兼ねて紅茶を片手にゆっくりと話をすることになった。
学校の話や趣味の話と、多くの話をしていく中で話は唐突に妹の嶺璃の話題になる。
「嶺璃ちゃんを初めてお見かけした時、なんて可愛らしいのでしょうと思わず頬が緩みましたの。嶺歌にそっくりなのね」
「嶺璃かわいいでしょ〜自慢の妹だよ。甘えん坊だから、そろそろしっかりさせなきゃとは思うけど」
「ふふ、嶺歌がお姉さんというのはとても納得ですの」
嶺歌は改めて形南が嶺璃にブレスレットをプレゼントしてくれた事に対して礼を告げた。しかしあのような子どもが喜ぶ物をいつ購入していたのだろう。
「嶺歌に妹様がいらっしゃるのは事前の調査で知っておりましたの。いつかはお会いするだろうと、常に用意してお持ちしていましたのよ」
「マジかっ! めっちゃ用意良い!」
そのような会話をしてあっという間に時間は過ぎていった。
今回の一件は無事に事なきを得たのだが、話も一段落したところで嶺歌はもう一つやらねばならない事を形南に向けて口にする。
「野薔薇内蘭乃への復讐は来週にしようと思うんだけど都合はつく?」
そう、竜脳寺外理への復讐は確かに終わった。だがまだもう一人報いを与えなければならない人物がいるのだ。彼女への調査も竜脳寺の調査の折にしていた嶺歌だったが、彼女も彼女で中々に癖のある女の一人である事が判明していた。
「ええ、問題ありませんの」
形南はすぐに答えてみせた。嶺歌はその返答に頷き返すと、手元にあった紅茶を飲み込む。
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