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「それは何よりで御座います」
嶺歌はどのドレスを選ぼうか悩み、あまりにも美しい衣装達に囲まれ、本当にこの一帯のドレスの中から選んでも良いのかとそんな気持ちが芽生えてくる。
しかし嶺歌の心を読み取ったのか、兜悟朗は「ご遠慮は必要ありません。お好きなドレスをお選び下さい」と言葉を付け加えてきていた。だがそこで嶺歌は形南のことを思い浮かべた。
「あのー、あれなは今どこにいるんですか?」
最後に彼女を見たのは一緒に食事を摂っていた大広間の部屋だった。
形南は嶺歌と兜悟朗の二人を見ながらただ嬉しそうな顔をしていたが、嶺歌達についてくる素振りは見えなかった。彼女は彼女で準備をしているのだろうか。
すると兜悟朗は目を細めながら嶺歌の質問に答え始める。
「形南お嬢さまは現在別室にてご準備をされております。嶺歌さんのご準備が整いましたらお会い出来ますのでご安心下さい」
「そうなんですね」
兜悟朗の回答で後程形南と合流出来る事が分かった嶺歌は、しかしもう一つの疑問が生まれていた。
「あの、兜悟朗さんはあれなの専属執事なのにあたしのところにいて大丈夫なんですか?」
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