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「まあ嶺歌! なんてお似合いなの!」
数々のドレスの中から自分の心に一番響いた青色のドレスを選出し、数人のメイドからあっという間に飾り付けてもらった嶺歌は執事の兜悟朗にエスコートされながらパーティー会場と称された場所に到着した。
嶺歌の選んだドレスは、胸元から袖にかけて上品な刺繍のレースが施され、ウエストで切り替えられたスカートはチュール素材が重なり美しいフレアが広がっている。膝丈のそのドレスは控えめに言っても大人びており、着用している嶺歌の心を高揚させていた。
一足先に到着していた形南はそんな嶺歌の姿を見て、甲高い声をあげるとこちらに走り寄ってくる。
純白のドレスを身に纏った形南の姿は控えめに言っても美しく可愛らしい。まるで天界から訪れた天使のようなその姿に嶺歌は率直な感想を口にした。
「ありがと! あれなのドレスもめっちゃ可愛いー! その色のドレスあれなに似合うね」
そう言って形南を賞賛すると彼女は嬉しそうに口元を綻ばせ、嶺歌の手を握ってきた。
「嬉しいですの! 嶺歌、兜悟朗のエスコートは問題ありませんでした? 何かあれば遠慮せず仰ってね!」
「ありがとね。でも大丈夫! 兜悟朗さん、探しても粗が出ないくらい完璧だから」
嶺歌はそう言葉を返すと形南が「あらあら」と嬉しそうに口元に手を当て、兜悟朗は「勿体無いお言葉感謝致します」と丁重な一礼をしてくる。
話を盛ったつもりは毛頭ないのだが、しかしこのように改まった反応をされるとどう対応したらいいのか分からなくなる。
「それでは嶺歌、お気に召した所から回りましょうか。まずはどちらに行かれたいかしら?」
形南が沈黙を破ってくれたおかげで嶺歌は安堵した。それから彼女に言われた通り気になる所を探し、演奏が聞けるというエリアに目を向ける。
あそこに行っていいかと尋ねると形南は勿論ですのと嬉しそうに言葉を返しそのまま演奏エリアに向かうことになった。
そして当然なのだが兜悟朗も着いてくる。それがまた気恥ずかしく、嶺歌の顔の熱は下がるどころか更に強める要因となっていた。
席に座ると二人の為だけに演奏者達が音楽を披露してくれた。
そうしてその後もプロのマジシャンのマジックショーを生で拝見したり、会場を真っ暗にして天井に星座を映し出すプラネタリウムを楽しんだ。
他にも五つ星レストランのシェフが作りたてほやほやのデザートを振る舞ってくれたりと予想外の豊富なパーティー内容にその都度感動しながら、嶺歌の気持ちは終始浮き足立っていた。
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