第十九話『招待されて』

10/10

28人が本棚に入れています
本棚に追加
/520ページ
嶺歌(れか)、なんて純粋なお方なのかしら」  取り残されたお嬢様と執事は、慌ただしく消えていく本日の主役の後ろ姿をただただ見送る。そんな最中で、形南(あれな)はこんな言葉を口にした。 「(わたくし)が思っていた以上に兜悟朗(とうごろう)が嶺歌に気に入られているようで嬉しいですの。あんなに必死になってまで貴方のエスコートを望むなんて、可愛らしいお方ですわ」 「ねえ兜悟朗、貴方もそう思うでしょう?」  形南のその意見に執事はただ思うがままの言葉を紡ぎ出す。 「お嬢様の仰る通りで御座います。(わたくし)も…………年甲斐もなく喜んでいる自分がおります」  本人には知られる事のない、主従の会話が交わされていた。 第十九話『招待されて』終                next→第二十話
/520ページ

最初のコメントを投稿しよう!

28人が本棚に入れています
本棚に追加