28人が本棚に入れています
本棚に追加
/520ページ
「嶺歌、なんて純粋なお方なのかしら」
取り残されたお嬢様と執事は、慌ただしく消えていく本日の主役の後ろ姿をただただ見送る。そんな最中で、形南はこんな言葉を口にした。
「私が思っていた以上に兜悟朗が嶺歌に気に入られているようで嬉しいですの。あんなに必死になってまで貴方のエスコートを望むなんて、可愛らしいお方ですわ」
「ねえ兜悟朗、貴方もそう思うでしょう?」
形南のその意見に執事はただ思うがままの言葉を紡ぎ出す。
「お嬢様の仰る通りで御座います。私も…………年甲斐もなく喜んでいる自分がおります」
本人には知られる事のない、主従の会話が交わされていた。
第十九話『招待されて』終
next→第二十話
最初のコメントを投稿しよう!