第二十話『第二の復讐』

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 だが竜脳寺(りゅうのうじ)野薔薇内(のばらうち)を振ったらしい。  彼は形南(あれな)との一件から言葉だけでなく行動からも反省の色を見せ、自身のしてきた罪と向き合っている様子だった。  形南の自宅が近い事からよく通りがかっていた道も、形南に二度と会わないという誓約を守るために迂回して行動しているのを先日この目で確認している。  兜悟朗(とうごろう)と交代制で毎日確認していたが、彼の行動は口先だけではないようだ。  親も巻き込んだ誓約書があるからと言うのが大きいだろうが、彼も自分なりに反省しているのだろうと嶺歌(れか)はそう感じていた。  そんな竜脳寺が野薔薇内を拒絶するようになり、野薔薇内は発狂する日々を送っているようだった。  彼女の自宅では毎日のように発狂する叫び声が聞こえ、メイド達も気苦労が絶えないという話まである。  親に甘やかされている野薔薇内は、発狂する自分を宥めようと必死に一人娘の機嫌を取ろうとする両親にも無下な態度を取り、今の野薔薇内家は相当酷い状態となっていた。  その元凶である当人の野薔薇内は竜脳寺に何度も連絡を試み、会いにも行っていたようだが彼には門前払いをされ彼女は一向に満たされていない様子だった。  自業自得としか言いようがないのだが、これくらいで悲鳴を上げられても困る。  嶺歌は今の野薔薇内の精神状態に更に追い討ちをかけるような作戦を考え、実行する事にしていた。 「こんにちは野薔薇内蘭乃(らんの)。竜脳寺からメッセージがあるけど聞きたい?」
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