第二十話『第二の復讐』

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 形南(あれな)から解放され、その場に跪いた野薔薇内(のばらうち)は彼女に土下座をしながらか細い声で謝罪の言葉を口にした。 「ごっ……ごめ…ごめんなさい」 「何に対しての謝罪ですの?」 「こ、高円寺院(こうえんじのいん)さんを……高円寺院さんの婚約者をう、奪い……挙句にあなたをけ、貶したことです」 「あら、ご自覚がありましたのね。それは何よりですの」  形南はそう言うと野薔薇内の乱れた髪の毛を一見してから踵を返す。 「今のお言葉、しかと受け取りましたの。もう二度と、このような事がなきよう祈っておりますわ」  そう言葉を残して形南は野薔薇内の部屋から離脱した。続いて嶺歌(れか)兜悟朗(とうごろう)もその場を後にする。  野薔薇内がこれ以上何かをすることも、できる事もないというのは明白だった。  形南の威厳を目の前にし、体を震えさせ、彼女は確実に恐怖を感じ、形南に逆らった時の恐ろしさを身を持って体感していた。だからこそ、高円寺院家に喧嘩を売る事はこの先ないだろう。  嶺歌は野薔薇内家を出た途端にかけていた魔法を解除する。  今回、娘を溺愛する家族は邪魔になると踏んで予め結界のような魔法をかけていたのだ。形南や兜悟朗、そして野薔薇内の姿や声は認知できないような魔法である。そのため形南や兜悟朗も屋敷内に入ることが出来ていた。  そしてその結界を解いた今、きっと野薔薇内の元に家族が集まっている事だろう。
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