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第二十一話『疑惑と信頼』
形南の復讐も無事に終了し、平凡な日常を送る日々がまたやってくる。
竜脳寺のあの一件はあの場にいた多数の生徒のネット投稿から世間に流出していた。
嶺歌の魔法である程度は沈静化させているものの、ネットは不特定多数の者が投稿できてしまう為全てを落ち着かせるという事は出来てはいなかった。
だがしかし形南の牽制があったおかげか、ネット上でこそ炎上してはいたものの彼自身の学園生活はそう酷いものではないようだ。
彼を遠ざける生徒は多くいても、竜脳寺は本当に反省しているのか日々の生活を謙虚にそして懸命に送っている様子だった。
野薔薇内も形南との一件で懲りたのか大人しくなったという。
あの後高円寺院家へ両親と共に訪れた彼女は再三の土下座を形南の前で行い、それ以降は二度と形南に顔を見せない事を誓ったらしい。
竜脳寺のように誓約書を書いていないのは形南の慈悲だと聞いている。
そして懸念していた高円寺院家が復讐を行なったという噂は少なからず出回ってしまっていた。
だがそれを形南は後悔していないのだと改めて嶺歌に告げており、高円寺院家に仕える優秀な従者達の立ち回りで事はそう大きくなっていなかった。
当主である形南の父親も、形南の今回の件に対してむしろよくやったと喜んでくれているのだとか。
形南の年の離れた兄弟たちも今回の件を聞いて安心してくれていたようだ。
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