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第二十四話『誤解して先走り』
日曜日は友人達と遊園地で遊び回った嶺歌だったが、内心では昨日の出来事で頭が埋め尽くされていた。
兜悟朗が嶺歌の手を取り、そこへ丁寧に優しい口付けを落とす。その場面だけを何度も思い返しては頭がパンクしそうになる。
(いや、財閥界ではあれくらい日常茶飯事では……)
嶺歌のような一般市民にはとても縁のない事であるが、形南ほどの財閥一家であれば執事が主人に敬意を示す際にあのような事をするのもおかしくはないだろう。
ドラマや漫画などでもそのようなシーンは見た事がある。
(いやいや、でもあたし主人じゃないし……てか主人の友達だし……)
そんな事を悶々と考え、嶺歌はパニックになりかける。
大抵のことは事が済めば何事もなかったように切り替えてしまう嶺歌であったが、今回ばかりはそうはいかない。
兜悟朗からのあの行為の意味を考えられずにはいられなかった。
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