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しかしこれで腑に落ちた。
以前平尾から敵対心のようなものを向けられていると思っていた原因はこれだったのだ。
単に嶺歌を嫌っているのだと思い込んで納得していたが、これが理由だろう。
形南を利用しておいしい思いをしている嶺歌に平尾は以前から思うところがあったのだ。
そう考えると理由が分かり頭がすっきりする。
「まずさー、平尾君の言ってる事は正しいけど決めつけてるとこあるよね」
「え? そ、そう…なの?」
「うん、まあ側から見たらそう思うのも仕方ないし、あたしもそれは自覚あるからあんたが間違ってるとは言い切れないんだけど」
嶺歌は隣に座った平尾に視線を向けながら言葉を口にする。
平尾は目線を合わせて会話する事が慣れていないようで嶺歌の視線に目を合わせることはなかったが、こちらの話に耳を傾けている事は伝わっていた。
「つまり平尾君は、あたしがあれなと遊ぶ度に身の丈に合わない豪華な食事やプレゼントを貰ってて、それを目的としてあたしがあれなと関わってるって言いたいんだよね? 合ってる?」
嶺歌は平尾に再び向き直り、彼に問い掛ける。
平尾はたじろぎながらも視線を外して「そ、そう……だよ」と肯定してきた。
「それがあんたの決めつけだよ。あたしだってあたしの言い分があるからそれ聞いてから言ってよね」
「で、でも……和泉さんはあれちゃんを洗脳…してる。あれちゃんは気付いてないんだ」
「いやあんたのその思考は理解するけど、それは相手の意見も聞いてからにして」
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