第二十四話『誤解して先走り』

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 嶺歌(れか)は小さく息を吐くと彼に説明を始めた。  まず形南(あれな)にこれまでされてきた事は、全てプレゼントというものではなく、嶺歌が形南にしてきた事に対する御礼なのだと。  そして豪華すぎるお返しを躊躇していた事も説明した。言い訳がましいかもしれないが、事実なのだから構いやしない。  勝手に欲深い奴だと決めつけられるのはいいが、何も知らない平尾がそれを口にして嶺歌を形南から引き離そうとしてくる事だけは嫌だったのだ。  どのような事をしてそのような豪華な御礼を貰ったのかまでは魔法少女の話が関与してくる為詳しく話せなかったが、話せる範囲の事は全て説明してみせた。  平尾はただただ顔を青ざめさせたり眉根を下げたりとよく分からない反応を終始見せていた。 「だからあたしからあれなに物を要求した事はないし、あれなもそれを理解してる。でも断り切れないあたしがいたのも事実だから、それはあんたの意見が正しいと思うよ。だけどあたしは一度だってあれなを都合の良い相手として見た事はないからそこは勘違いしないで」  そして「不快だから」と言葉を付け加える嶺歌の言葉に平尾は顔を歪める。申し訳ないと思っているのか途端に顔を下げて「ご、ごめん」と声を発した。 「まあいいよ、平尾君があれなを思って言ってるのは分かったし」  嶺歌は自身のプライドの為に言ったまでだ。  彼も彼の正義を貫きたかっただけなのだろう。和解ができるならそれに越した事はないし、嶺歌の言葉で平尾からの誤解も解けた筈だ。  何となく平尾から向けられる視線が先程と変わった気がする。 「それにあたしも最初はあんたがあれなを逆玉で狙ってんのかと疑った時あったよ」  以前疑惑として浮上した一つの可能性を嶺歌は思い出し口にする。  今でならあの考えは非常に的を外れていると直ぐに分かるが、その事を話してみると平尾はひどく驚いた様子で肩を跳ね上がらせ、慌てた様子で言葉を発してきた。 「ええっ!? お、俺そんなことしないよ!!!」 「うんごめん。ちょっと思った時があっただけ。今は思ってないから」  嶺歌はそう言って平尾に謝罪する。決めつけこそしてはいないが、疑ってしまったのは事実だ。  嶺歌が頭を下げて謝ると平尾は尚も慌てた様子を見せながら「お、俺の方こそごめん。う、疑って。勝手に」と謝罪をしてくる。  嶺歌はそのやり取りで自身の負の感情が次第に収まっていくのを感じていた。
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