28人が本棚に入れています
本棚に追加
/520ページ
ダブルデートの日はすぐにやってきた。
嶺歌は細めのボーダートップスをショートデニムパンツの中にインさせて歩きやすい白を基調としたスニーカーで支度を済ませる。
仕上げにお気に入りのスポーティーなキャップを被れば日焼け防止もバッチリだ。髪の毛は両サイドで簡単に編み込みをしている。
「よし、準備完了っと」
余裕を持って行動していたためまだ時間がある。嶺歌はゆっくりと待ち合わせ会場に向かう事にした。
時間はたっぷりあるのだが、気候の良いこの日であれば外で待つのも悪くはないだろう。
「れかちゃん! カワイイ!!」
廊下に出ると嶺璃が目を輝かせて嶺歌の姿をまじまじと見ていた。
嶺歌は「でしょ〜」と笑みを向けると嶺璃は「おでかけ?」と尋ねてこちらに抱きついてくる。可愛い妹だ。
「そうだよ。お土産買ってくるから」
「わ〜い!!!」
そんなやり取りをして母と義父に声を掛けると嶺歌は自宅のマンションを出た。
待ち合わせ場所は目的地である遊園地で現地集合だった。珍しく車は出さないらしい。
しかしそれも納得である。今回は平尾が参加するため形南としては彼の意向に添いたいのだろう。
前回のやり取りから平尾がいかに遠慮がちな人間であるかを理解した嶺歌は、形南が平尾に無理強いをしたくないと思っているのだと推測するようになっていた。
彼の性格を知っているからこそ、形南は平尾の生活感に合わせて行動しているのだと考えられる。
電車を乗り継ぎ最寄りの駅に到着すると時間を確認する。
まだ集合時間の二十分前だ。嶺歌は遊園地の券売機売り場の前で立ちながら待つ事にした。ソーシャルゲームでもして時間を潰しておこう。
そう思い、アプリを起動すると突然声が掛けられる。
「嶺歌さん、お早いご到着ですね」
(え……)
最初のコメントを投稿しよう!