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『おはよう御座いますですの、嶺歌さん』
「お早うございます……」
早朝目が覚めると同時に着信がかかり、画面を見ると相手は形南であった。驚きと同時に直ぐに出なければと電話に出る。
すると昨日のように淑やかであり上品でもある言葉遣いで嶺歌は形南から朝の挨拶を向けられていた。
『本日はですね、早速貴女様にお願いしたく思いまして御校へ向かう前に少しお時間いただけないかと思いましたの』
「大丈夫です、直ぐに支度します!」
嶺歌は粗相がないよう意識して返事を返す。そして器用に片手で支度を始めていた。
スマホを手放し、スピーカーにして会話をする事もできるが、それはお嬢様である形南に対して無礼ではないかと思ったのだ。
このように片手で支度を行うのも不敬であると自覚していたが、相手を待たせる事よりかはマシだろう。
嶺歌が返事を返すと形南は『焦らなくても宜しくてよ』と気遣いの言葉を発してくれる。
それを有り難く思いながらも鵜呑みにする訳にはいかず、嶺歌は過去最高に素早く朝の支度を済ませた。
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