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形南の言葉に大きく頷くと嶺歌は平尾に視線を送って「次は無理しないでね」と声を掛けた。先程の話を思い出させたかったからだ。
形南の事を想っているのなら、自分ができる境界線をきちんと理解して行動しろという意味を込めて彼にそう告げていた。平尾も平尾で嶺歌の言葉には納得をしている筈だ。
嶺歌の言葉を耳に入れた平尾は「う、うん。もうしないよ」と言葉を返す。その返しを受けて嶺歌は口元が緩んだ。これできっと問題は起きないだろう。
「ふふ、平尾様も嶺歌も仲良くなって下さって嬉しいのですの」
形南は嶺歌と平尾のやり取りを見ていたのか途端に笑みを溢すと、本当に嬉しそうに表情を緩めながらそんな言葉を発した。
それを見て、形南が本当に心から嶺歌と平尾の友好関係を望んでくれているのだと嶺歌は再認識する。優しい女の子だ。
そのまま四人で平尾の負担にならなさそうなエリアに向かい遊園地を満喫した。
途中で遊園地の名物でもあるポップコーンを頬張りながら3Dシアターを観に行ったり、ゴールに辿り着くのが困難だと言われている迷路に挑戦したり、SNS映えすると反響のある噴水ショーを観たりと様々なエリアを回り、とても充実した時間を過ごす。
昼になると遊園地の中でも有名なハンバーガー屋さんで昼食を摂り、他愛もない話を四人でした。
平尾も言葉をつっかえさせてはいるものの、朝より緊張がほぐれているようで会話にも積極的に参加していた。形南もいつもの調子で楽しげに言葉を口に出し、終始笑っている。
兜悟朗は皆の話に相槌を打ち、話の中心になる事はなかったが、きちんと全員の話を微笑みながら聞いてくれていた。
そうして時間はあっという間に夕方となり、解散の前に最後に観覧車に乗ろうという話になる。
形南は平尾も好きだと言っていた観覧車を最後にあえて取っておいたようだ。
組み合わせは必然的に形南と平尾、嶺歌と兜悟朗になる。
形南が平尾との距離を縮めたいと思っている事は既に分かっている為この組み合わせに不満などはない。だが、嶺歌にも思うところはある。
(兜悟朗さんと二人きり……)
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