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「兜悟朗は見た目は勿論の事、年齢などで可能性を断たれてしまうような殿方ではありませんのよ」
それを聞いて嶺歌はひどく納得をした。
確かに兜悟朗が見た目や世間の目を気にしてそのような判断をする人物にはとても見えない。
彼は優秀で、きっと嶺歌が思っている以上に様々な事に思考を巡らせるそんな男性だ。
(兜悟朗さんは年齢なんか気にしないか……)
そう思うと勇気が出てきた。嶺歌は形南に視線を戻しながら言葉を口に出す。
「じゃあ……アピールするのはアリだと思う? 今は兜悟朗さんにそう思われてなくてもあたし頑張りたいんだ。もっと自分を出していきたいんだけど」
現時点で彼が自分をそういった対象に見ていなくても、形南の言う通り差別をしない兜悟朗の事だ。どんなに低くても可能性は確かにある。嶺歌は形南の言葉で不思議とそう思える様になっていた。
兜悟朗を好きな気持ちは日々の生活で大きくなっている事から、確実に否定しようのないものだと何度もそう認識していた。
ゆえに出来る事なら兜悟朗とのお付き合いを目指してアピールをしていきたい。
そんな気持ちを胸に嶺歌がそこまで言うと、形南は席を立ち嶺歌の両手を握ってきた。
そうして強い意志を持った眼差しでこう口に出してくる。
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