第二十九話『放課後』

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第二十九話『放課後』

 それからテスト期間がすぐにやってきて、嶺歌(れか)はしばらく勉強漬けの日々を送っていた。  気晴らしに魔法少女活動を行いながらも、それを終えると再び試験対策に時間を費やす。  そんな日々をようやく終え、テスト返却の日まであと一日となったところで早速形南(あれな)から連絡が入ってきていた。 『嶺歌、試験お疲れ様ですの! 早速なのですが、明日(みょうにち)の放課後平尾様と三人でお出掛けなさらない?』 「平尾君と三人で?」  嶺歌は形南から入ったレインの内容を読み上げながら頭に疑問符を浮かべる。  二人で遊んできた方がいいのではないだろうかと思いながらも、こうして声を掛けてくれる事は嬉しく、断る必要もないかと思い直しすぐに行くという内容のメッセージを送信する。 (そういえばまだ詳細聞いてないな)  形南が平尾に呼び出され彼の家へ直行した一件以降、テスト勉強に励んでいた嶺歌は彼女にあの時の事を詳しく聞き損ねていた。  あれから二週間ほど時間が経っているがあの時の詳細をきちんと聞いておきたい。  形南と平尾の二人はまだ恋人関係までには発展していないが、少しずつ進展している気がする。  客観的に見た嶺歌の主観であるが、二人が両思いである事を知っている嶺歌としてはどのタイミングで恋仲になるのかを考えるのが楽しみになっていた。
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