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リムジンの中に乗り込むと形南が嶺歌と平尾の後に乗ってきて尚も嬉しそうにこちらに目を向けている。今日の形南はいつも以上にご機嫌な様子に見えた。
「本日実は、私やってみたい事がありますの」
「やってみたい事?」
兜悟朗の素早い動きであっという間にリムジンが動き出し、嶺歌たちは形南の言葉に耳を傾ける。
形南は嶺歌の問い掛けにそうですのと声を返すと車内の端に置かれていたとある紙袋を持ち上げて中身を取り出した。そこには、嶺歌たちが通う秋田湖高校の制服が入っていた。
「実は私、本日こちらを着用して、お二方と放課後お出掛けを実行したいのですの! お付き合いいただけるかしら?」
何と形南は嶺歌の高校の制服を着用して一緒に三人でお出掛けを堪能したいと言う。
嶺歌は驚きつつも形南もこちらの制服を着ることで三人が同じ学校であるという疑似的な体験をしたいのだと理解し、それを素直に面白そうだと感じた。
いいねと直ぐに言葉を返すと平尾も「お、俺もいいと思う……」と同意の声を出す。
平尾は何を想像しているのか顔を赤らめて窓の方へ視線を逃がしていた。形南の制服姿を想像して赤くでもなっているのだろうか。
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