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(さて、どこ行こうかなっと)
形南たちを二人きりにしたはいいものの、自分がこの後どうしようかは全く考えていなかった。
一人で商店街をぶらぶらと歩くのもいいのだが、形南に見つかっては困る。
そんな時、嶺歌は今川焼きの良い匂いがすることに気が付いた。
(今川焼き、いいな……)
そしてそこで思い付く。今川焼きを買って兜悟朗のいるリムジンへ戻り、一緒に食べるのもありなのではないかと。
(兜悟朗さん今川焼き好きかな)
そう思い至るともう行動に出るしかなかった。
嶺歌の心は面白いくらいに弾み出し、今川焼きを受け取った兜悟朗の顔が自然と思い浮かぶ。ああ、自分は兜悟朗に本気で恋をしているのだとそう改めて実感しながら、その感情を素直に喜んだ。片思いであるが、それがとてつもなく楽しい。
形南にも共有したこの感情は、今もっと多くの人にも共有したいとそう思える程に大きなものへと変化していた。
(よし、買っていこう!)
嶺歌は直ぐに店の方まで足を向けると今川焼きを二個注文するのであった。
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