第三十一話『嬉しい通知』

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 商店街のお出掛けの後、平尾との進展具合が気になった嶺歌(れか)は帰宅してから秘密裏に形南と電話をしていた。  そこで形南(あれな)と平尾の関係の変化を聞くと共に、嶺歌の兜悟朗(とうごろう)への感情の話も改めて彼女に伝えていたのだ。  形南と平尾の関係はまだ告白にまでは至っていないらしい。だがそれでも確実に手応えを感じているのだと形南は嬉しそうに話してくれていた。  嶺歌としては互いの気持ちを知っているのだが、今その時を楽しんでいる形南が本当にこの青春を謳歌しているのを感じて、改めてゆっくりと二人の仲が近付いていくのを楽しみに陰ながら応援している思いだ。  そして話は嶺歌の話に切り替わり、形南は嶺歌に兜悟朗との仲が近付くように応援すると物凄い勢いで宣言してくれていた。  嶺歌はそう言ってくれる形南の言葉が本心からのものであると分かり嬉しい気持ちになったのだが、だがそこで一番の懸念点である兜悟朗の気持ちがやってくる。嶺歌は片想いで終わりたくはない。兜悟朗との関係の発展を強く望んでいる。  けれど、他でもない十一歳も年上の、未だ恋を知る事なく生きてきたというあの兜悟朗が嶺歌に異性としての魅力を感じてくれるのだろうか。  形南との以前のやり取りで、兜悟朗が年齢など気にしないだろうという事への不安は払拭されていたが、それでも魅力を感じてもらえるのかの点においては、未だに不安が拭いきれていなかった。 (やば……あたし何か自信無くしてる?)  これまで十七年生きてきて嶺歌に自信がなくなる事は一度もなかった。だがそれが今はどうだろうか。  彼に振り向いてもらえるという自信は全く芽生える事もなく、いつもは考えないネガティブな事を考えそうになっている自分がいる。これは良くない傾向だ。  嶺歌は瞬時に頭を左右に振って邪念を払うと急いで自室へ戻り魔法少女の姿に変身してから家を飛び出していった。
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