第三十一話『嬉しい通知』

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「れかちゃんこれ! これね絶対れかちゃんに似合うと思う!!」  徒歩二十分の距離にある大型ショッピングモールに足を運ぶと嶺璃は服屋の前で飛び跳ねながらマネキンの着ている服を指差していた。  嶺璃と出かけるとこういった事が多い。いつも彼女は決まって自身の服ではなく、嶺歌の服を選びたがるのだ。 「いいねこれ。何色がいいと思う? あたしはグレーとキナリが好きかな」 「嶺璃はねー! グレー派! んでもエンジも合うと思う!!」  そんな会話をして試着を楽しみ、満足して店を出ると今度は嶺歌が妹の服を見繕う事に決めていた。 「嶺璃、何か服買ってあげるよ。どの店に入りたい?」  嶺歌が終始ご満悦の笑顔で横を歩く嶺璃にそう問い掛けると嶺璃は先程以上に嬉しそうな顔をしてやったーと喜びを露わにする。  本当に可愛い妹である。そのまま嶺璃のショッピングに付き合い、妹の洋服の会計を終えると一緒にフードコードで昼食を摂り始める事にした。  嶺璃と出かけるときはいつもハンバーガーかラーメンを食べている。今日はラーメンの日だ。  嶺歌はようやく確保できた席に嶺璃を待機させ、嶺璃の食べたいメニューを頭に入れてから一人でラーメンの注文に向かう。  夏休みで多くの人間がエリア内にいるせいか人ゴミで溢れかえっていた。  嶺歌はラーメンの行列に並び始めるとその瞬間に『ピコンッ』とレインの通知が鳴るのを耳にする。  注文するメニューは既に決めていた為、嶺歌はそのままポケットに入れていたスマホを取り出してレインを確認した。相手は何と――兜悟朗からだった。 「え!?」
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