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第三十四話『強さ』
形南が急遽開いたパーティーは唐突に開催したにしては豪華すぎるパーティーだった。
以前のように嶺歌は好きなものを選ぶようにと、ラインナップの豊富な衣装部屋で豪華なドレスの中からお気に入りの一着を選出し、形南に手を引かれて綺麗な会場へと連れて行かれる。
今日は形南が直接お詫びをしたいからと積極的に彼女の方からエスコートをされていた。
嶺歌と形南の背後には常に兜悟朗とエリンナの二人がこちらを見守っており、パーティーは充実としたものになっていた。
「嶺歌、先程私がはしたなくも興奮して部屋を飛び出した理由をまだ貴女にお話ししていませんでしたの」
美味しい料理を食べ、楽しいショーをいくつか鑑賞して楽しんだ嶺歌と形南が大きなソファの上で休憩も兼ねてくつろいでいた時だ。
形南はそのような言葉を口にすると途端に顔を赤らめながらこちらに微笑んでくる。
嶺歌も形南のその言葉で先程後で話すと言っていた事を思い出し、結局のところ何が届いたのかが気になり始めていた。
すると形南はパチンと指先で小気味のいい音を鳴らすとメイドの一人が形南の方へワゴンに乗せた何かを持ち運んでくる。
それは上品なエンジ色の布が被さっており、中に何があるのかは布を取るまで分からないようになっていた。
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