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そこには、金色に光り輝くトロフィーが置かれていた。大きさは一般的なものと同じくらいのトロフィーだ。
しかし通常のそれとは違うのは、珍しくも平皿をモチーフに作られたものであり、またそのトロフィーがどことなく歪な形をしているという事だった。
「なんか変わったトロフィーだね」
嶺歌はまじまじとトロフィーに目を向けてみる。
そのトロフィーは平皿を縦に固定された形で出来上がっており、しかしとても綺麗とは言い難い形に仕上げられている。
左右どころか全てが不均一であり、ただ金ピカに光っているだけで美しいトロフィーであるとは思えなかった。
嶺歌がそう思いながらトロフィーに目を向け続けていると形南は「こちらもご覧になって」とニコニコした顔で今度はまた別のあるものを手に持ち始める。それは――――トロフィーのお皿にとてもよく似た本物のお皿だった。
「実はこちらのお皿、平尾様の手作りですのよ。陶芸を習わられたようですの」
「陶芸っ!? じゃあ自分で作った皿をあれなにあげたんだ」
嶺歌は思いも寄らないプレゼントの内容に驚きを見せながらも平尾の本気度を改めて実感する。本当に、早くくっつけばいいのにと思う。
「ふふふっそうなのですの! まさか手作りのプレゼントだなんて、私もうこれ以上ない程に喜ばしくて……こちらのお皿をコピーさせてトロフィーを発注してしまったのですの! 世界で一つだけの平尾様トロフィーですの!!!」
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