第三十五話『デートとして』

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 形南(あれな)の絵文字付きのその返事に嶺歌(れか)は頬が緩むのを感じながらそうなんだと返事を返す。  すると形南は次にとんでもない提案をしてきた。 『嶺歌の本日のご予定はありますの? もしないのでしたら(わたくし)が不在の間に兜悟朗(とうごろう)とデートでもなさるのはどうかしら?』 「でっ!!!? デート!?!?!?」  思わず声に出てしまう。まさかすぎるその展開にしかし嶺歌の胸の鼓動は一気に高まり、他でもないそれを望んでいる自分がいる。  それに今日は本当に一日何も予定がなく、まさに打って付けの日であった。  嶺歌は慎重に形南のメッセージを見返しながら思考を巡らせていると形南は立て続けにこのようなメッセージを送りつけてきていた。 『兜悟朗には嶺歌をエスコートするように指示を出しておきましたの。(わたくし)はこれからお稽古ですので、お返事が出来なくなるけれど、ご予定がありましたら遠慮なく兜悟朗に仰ってね!』  そんなメッセージの後に『ファイト!』と書かれた小動物のスタンプが送信される。  形南は嶺歌と兜悟朗の関係に積極的だ。とても嬉しい事だが心の準備が一切なかった嶺歌は柄にもなく緊張感に襲われながら形南にお礼のレインを送り返し、そうして兜悟朗にもレインを送るのであった。
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