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兜悟朗と行ってみたい所は数え切れない程あるのだが、今の状況に胸がいっぱいな嶺歌はそれ以上の事に頭を働かすことが出来ずにいた。ゆえにここは兜悟朗に選んでもらいたいというのが本音である。
それに兜悟朗と二人でデートができるのなら、どこだって嬉しい。
これは紛れもない嶺歌の本心だ。
「それでしたら僕がご提案しても宜しいでしょうか。僭越ながら先程本日の予定を組ませて頂いたのです」
「え……っ」
驚いた。兜悟朗はそこまで想定して案を考えてくれていたのだ。
嶺歌は嬉しさのあまりに言葉を失いながらも兜悟朗のにこやかな笑みに大きく頷いて、彼の提案を肯定した。
兜悟朗が自分との為だけの予定を考えてくれた事がとてつもない程に嬉しい。
そんな嶺歌の姿をバックミラー越しに見た兜悟朗は、和やかな声を発しながらありがとう御座いますとお礼の言葉を告げてくる。
そうして目的地に辿り着くまで黒いリムジンに揺られながら嶺歌は兜悟朗との時間に胸を躍らせていた。
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