第三十六話『夏祭りに』

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嶺歌(れか)〜! こっちこっち! 嶺璃(れり)ちゃんも久しぶり〜っ!」 「こみちゃん久しぶり!! わたしも着いてきちゃった」 「やっほー、みんな浴衣可愛いね」  嶺歌が嶺璃の手を引いて駅前に集まる三人の友人の元へ到着すると、三人とも笑みを向けながら嶺歌達に手を振って挨拶をしてきた。  全員嶺歌とクラスは違うのだが、廊下で会えば立ち話をするくらいには仲の良い友達である。 「こみが嶺歌ちゃん誘ってくれるって聞いてめっちゃ嬉しかったー! 遊ぶの初めてだよねっ!? てか浴衣めっちゃかわい〜! 姉妹で似合ってる!」  三組の積切(つみきり)(あん)が嶺歌と嶺璃を交互に見ながら嬉しい言葉を口にする。彼女とは学校以外で会う事がこれまでなかったため今回初めての外出であった。 「嶺璃ちゃん初めまして〜! お姉ちゃんの友達の三井雪沙(ゆきさ)だよ〜宜しくね」  嶺歌と数回ほど団体で出かけた事のある雪沙は、嶺璃に満面の笑みを向けて妹の小さな頭をそっと撫でる。  嶺璃も嬉しそうに宜しくお願いします! と言葉を返していた。  嶺璃は嶺歌の友人にいつも人懐っこいため、今回連れてきたのは正解だったと四人のやり取りを見ながら強くそう思う。  そうして五人で仲良く駅の改札を出ると、皆でテンションを上げながら祭りの会場へ足を向けるのであった。
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