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そこまで口にして嶺歌は子春のここ数日の行いを全て口にしてみせた。
何日の何時何分にどこで嶺歌たちの行動を確認していたのか、事細かく詳細に教えていく。
子春は初め訝しげな顔をしていたものの、嶺歌の放つ言葉が全て身に覚えのある事のようで次第に青ざめていった。
子春から嶺歌一家に向けられたストーカー行為の全てを本人に伝え終えると、子春は恐ろしいものを見るかのような目で嶺歌を見据え、僅かに震えた言葉を発する。
「き、気持ち悪い……そんな細かい事、どうして……なっ何なんですか貴女」
「いやそれはあたしの台詞ですよ。あなたがしてた事と全く同じですけど? まああたしのは正当防衛ですよね、先に仕掛けたのはそっちなんですから」
そう言って嶺歌はテーブルの上に片足をバンッと乗せると、身を乗り出して子春に啖呵を切った。
「あたしは気持ち悪いくらいあなたの事たくさん知ってますよ。昨日あなたが家で食べた天丼をどこで買ったのかも知ってますし、朝ごはんの目玉焼きを崩して舌打ちしたことも知ってます。あーあとは、ベタな事にタンスの角に小指ぶつけてましたよね? あれは一昨日でしたよね」
嶺歌は早口で彼女にプライベートな情報を話し始める。
絶対に誰も知らないはずの情報までもが、嶺歌の口から露出していく事に恐怖を覚えたのか、子春は青ざめさせた顔を更に真っ青にすると「なっ何なの!? 何者なの!!?」と声を上げてきた。
しかし彼女の声はもはや戦意を喪失しており、そう口にするのが精一杯のようだった。嶺歌はそんな彼女を見下ろしながらその問いかけに答える。
「ずーっと調べてたんだから知ってますよね? 和泉嶺歌。あなたが敵視しているただの女子高生ですよ」
そう言って嶺歌は最後の言葉を放つ。
「二度とあたしの家族に近付かないでもらえます? 調べるのもストーカーみたいに気持ち悪い事すんのももうやめて下さい。高円寺院家は厳重だから入れなかったようですけどあたしの住むマンションにあなたが張り付いていたのは本当迷惑でした」
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