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「状況は分かったよ、まじかって思ったけど何かあんたの状況は共感できる」
『えっ!? 本当?』
「うん、とりあえず持ってる服全部見せて」
そう言って嶺歌はしばらく平尾のファッションショーに付き合う事にした。
数時間でようやく平尾のデート服が決まり、ひとまず目的を達成出来た事に安堵していると『あ、ありがとう和泉さん』と平尾がぎこちない声でお礼を述べてくる。
「いいよ。あたしも二人には上手くいってほしいし」
嶺歌が惜しげなくそう答えると平尾は『が、頑張る……』と再び声を上げ始める。
そんな彼の声を聞いて平尾の形南への想いの強さを再認識した嶺歌は、彼がこの先の形南との進展を前向きに考えているような気がして、一つ質問をしてみる事にした。
「ねえあれなと付き合いたいって今思ってる?」
『ええっ!!?』
「いやそういう反応いらんから。前は否定してたでしょ。そこどうなの?」
嶺歌が彼の無駄な反応に言及してすぐに催促すると、平尾はえっとと言葉を詰まらせながらしばしの沈黙の後に『……思ってる』と答える。
嶺歌はその回答に口元が緩んだ。平尾もこの数ヶ月で考えが変わったようだ。
「いいじゃん、大丈夫でしょ。いけるよ」
そう背中を押してやると嶺歌は明日の予定の事も聞いてみた。形南とは完全に二人きりで会う予定なのだろうか。
(あれなから連絡来てないんだよな)
そう思いながら平尾に質問をぶつけると彼は二人きりで会うのだと答える。しかしそこでとある人物の名も出てきた。
『あ、明日は実は車で移動なんだ。だから兜悟朗さんもいる事に…なるのかな』
「……そなんだ」
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