28人が本棚に入れています
本棚に追加
「そうだよね、あたしもびっくりなんだけど、兜悟朗さんと次に会えるのは多分夏休み明けだろうなー」
そんな事をぼやくと平尾は『い、今すぐでも会いたいって事だよね? 分かる……』と嶺歌の言葉に同調してきた。嶺歌はそう! と思わず声を上げると片思いの立場であるからこそ分かる共感話をそのまま続けていく。
気がつけば平尾と三時間ほど電話をしていた。
服選びを終えてからはビデオ通話から音声通話に切り替えてはいたが、互いの想い人の話をするのは思っていた以上に楽しく、平尾もそれを感じているようで会話が止まらなかった。
そろそろ夕飯の準備をしなければと思った嶺歌は平尾に時間だから切るねと声を上げると、彼は最後に『あ、あのさ』と口を開く。そしてそのまま言葉を続けてきた。
『ず、ずっと思ってたんだけど……呼び捨てにしてくれない?』
「え?」
予想外の要求に嶺歌は素っ頓狂な声をあげた。一体今更どうしてだろうか。
すると平尾は補足するように再び声を出す。
『い、嫌なんだ。俺だけ君付けでしょ? 和泉さんが俺だけをそう呼ぶの、結構クラスで言われることあって……』
「えっそんな事気にする?」
最初のコメントを投稿しよう!