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第四十話『思い出してときめく』
『嶺歌! お久しぶりですの!!!』
形南から約一週間ぶりに連絡が来ていた。平尾とはちょうど昨日デートをしていたはずだ。
形南本人からは聞いていないが、一昨日平尾に聞いていたので間違いはないだろう。
嶺歌は形南からの久しぶりの連絡に嬉しい気持ちが湧き起こりながら、メッセージの返事を文字に打ち起こしていく。
何の変哲もないやり取りを数回繰り返した後、形南から今度一緒に海に行かないかとお誘いを受けた。夏休みはもう形南にも兜悟朗にも会えないと思い込んでいたため、急激にテンションが上がる。
『行く行く! いつにする!?』
そして互いにスケジュールの確認を終えると夏休みの最終日、八月三十一日に遊ぶ日が決定した。
夏ならではのレジャーを形南と楽しめる事に胸を弾ませていると、ふと兜悟朗の事を思い浮かべる。そうして形南に聞いてみた。
「ねえ兜悟朗さんももしかして来る?」
『ええきちんと呼んでおりますの。だって嶺歌の為ですもの!!』
形南は当然だと言うかのように声の調子を明るくしてそう答える。嶺歌は彼女の頼もしさに嬉しい気持ちになりながらも形南にまだ時間がある事を確認してから、最近起こった近況話を二人でする事になった。
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