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「聞いておりました!? 兜悟朗!!? 嶺歌さんの方から私をお友達と言いましたの!! これは夢なのかしら!?」
先程のように興奮気味になった形南は目を輝かせながらこちらを見つめる。すると直ぐに兜悟朗の言葉が返ってきた。
「聞いておりましたお嬢様。夢では御座いません。和泉様は確かにお友達であると貴方様に申し上げられました。私兜悟朗が保証致します」
「まあまあ! そうよね! 嶺歌さん有難うですの! 私とっても嬉しくてよ!! 今回に限らず、今後も是非、仲良くしてちょうだいな!」
そう言い、嶺歌の両手を握ってくる。形南は両手を手に取るのが癖なのかもしれない。
嶺歌はそんなことを思いながら「ありがとうございます」と言葉を返す。しかし些か信用しすぎではないだろうか。そう思った嶺歌は念の為彼女に尋ねてみる事にした。
「あの、あたしを怪しい人物とは思わないんですか? まだ会って三日も経ってないのに財閥のお嬢様にしてはガードが緩いのではないかと……ああ、いや、すみません。不快にさせるつもりはなくて」
嶺歌は失礼のないように言葉を選びながら問い掛けてみる。
しかし失礼のないようにとは言っても言い方以前に質問の内容が相手にとって気分の良いものではないかもしれない。
焦った様子で言葉を返した嶺歌にしかし形南と兜悟朗は笑いながらこんな言葉を返してきた。
「嶺歌さんお心遣い感謝いたしますわ。ですがご心配は要りませんの。私こそ謝罪させて下さいな。貴女様の事は貴女様が思っている以上にたくさんの事をお調べさせていただいたのですよ」
「お嬢様の仰る通りで御座います。ですので私は和泉様を善人であると判断致しました。調査結果に自信を持っております故、善人である貴女様がお嬢様に危害を加えようなどとは考えておりません」
「えっ!? そうなんですか!?」
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