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医務室の扉の前まで来ると会話をしている声が聞こえてくる。嶺歌と兜悟朗だ。
形南ははしたないと思いながらも少しだけ戸を開け、彼らの会話に耳を傾ける。
平尾も気になるのか、特に反対する姿勢を見せずそのまま二人で医務室前に耳を寄せていた。
すると二人の会話がはっきりと耳に入ってくる。
「嶺歌さん、寒くはありませんか? 宜しければ替えの着替えをお持ちします」
「兜悟朗さんにお借りしてたこれだけで大丈夫です。あと三十分もしたら出られると思いますし着替えはその時にします。でもありがとうございます」
「ご無理はなさらないで下さい。先程は取り乱していたのも事実ですが、僕が申し上げた言葉に嘘偽りはありません。あの言葉を、どうかお忘れにならないで欲しいのです」
「……はい」
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