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第四十六話『一喝』
『嶺歌さん、ご無沙汰しております。宜しければ明日、ご予定が空いておりましたらお時間いただけないでしょうか』
「お、お、お誘いキタ…………」
嶺歌は早朝にレインの通知を確認すると、兜悟朗からお誘いの連絡が来ている事に一瞬で頭が持っていかれていた。
嬉しすぎるが故にすぐ返事を返そうと思ったものの、しかしそこで嶺歌は迷い始める。
(いや、待って。これ……返事早すぎてもどうなの?)
今までこのような事を誰かとのやりとりで考えた事はなかった。
返事を返そうと思えばすぐに返し、後でにしようと思えば後で送る。そんな単純なものだった。
決してこの人にはもう少し時間をあけてから、などという考えを働かせた事は一度もなかったのである。
それが兜悟朗にはこのように悩んでしまう。嶺歌は何て小さな悩みなのだろうと思いながらもしかし真剣に悩んでいた。
(とりあえずご飯食べてから送ろう。うん)
そう結論を導き出し、一分としない内に大丈夫ですと打ちかけていたメッセージを一旦閉じる。
一呼吸してからペットボトルの水を飲むと台所まで足を動かすのであった。
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