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第四十七話『放課後のデート』
「嶺歌、好きな人いるってまじ!?」
放課後になり、クラスの大半の生徒が下校していた所で嶺歌は詩茶に質問をされていた。
平尾との噂はあの一件から大分落ち着いてはいたが、また新たな噂が出回り始めていたのだ。まあその噂自体は、嘘でも何でもないのだが。
「うん、まじ」
そう、嶺歌に好きな人がいるという噂である。
驚いた様子でそれを問い掛けてくる詩茶に嶺歌はその通りだと素直に肯定の声を出す。自分で言った手前、はぐらかす理由はなかった。
それに兜悟朗を知っている者はこの学校に平尾しかいないのだ。知られたところで何ともない。
「マジか!!! ねえどのクラスっ!? 応援するよー!!!」
そう言ってくれる詩茶の気持ちは素直に嬉しい。彼女はずっと嶺歌に彼氏を作らないのかと催促をしてきていた。
詩茶が冷やかしではなく良かれと思ってそう提案してくれていたのを嶺歌はよく知っている。
嶺歌は詩茶にありがとねと笑みを向けながら「でも学校の人じゃないんだ」と言葉を付け加えた。
すると詩茶は目を見開いて驚いた表情を見せ始める。
「マッジで!? 他校か〜どこで出会ったのさ!!?」
詩茶は恋バナスイッチが入ったのか楽しそうに嶺歌の肩を叩いてくる。友人のこのような反応は新鮮で楽しいものだが、しかし詩茶は学生という括りを信じて疑わずにいるようだ。
「学生じゃなくて、大人の人」
興奮して妄想を始めていた詩茶にそう再三の声を上げると彼女はピタリと動きを止めて更に目を見開いた。そうして嶺歌の両肩を物凄い勢いで掴んでくる。
「まままマジのマジ!?!?!? 嶺歌大人がタイプだったの!?」
今日一番の声を張り上げた詩茶は息を切らしながら「詳しく教えてー! 嶺歌ぁ!!」と詳細を求めてくる。
今日は特に用事もなかったため、そのまま嶺歌は詩茶に最近あった一連の出来事を説明する事にした。
形南と平尾以外の友達に話すのが初めてのこの感情は、詩茶に話した事で更に兜悟朗への想いが増したような気がする。
嶺歌が兜悟朗との事を思い出す度に顔を赤らめて話すのを詩茶は終始楽しそうに見聞きしてくれていた。
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