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「おはよう御座いますですの」
インターホンが鳴り、テレビドアホンを確認するとそこにはいつもの制服姿とは違った形南の姿があった。
約束より早く訪れた彼女に驚いたもののすぐに玄関を出てエントランスまで走るとそこには上品に佇む形南がいた。
彼女は目が合うと優しげに微笑み、手を振ってくる。
「おはようあれな。久しぶりだね、待たせてごめん」
謝罪と共にそう挨拶を返すと彼女は先ほどよりも一層口元を緩め、嬉しそうに微笑んだ。
「ええ、お久しぶりね。私本日を楽しみにしていましたの。私が早く来てしまったのでどうか気になさらないで」
形南はそう言うと直ぐに嶺歌の腕に自身の腕を絡めてエントランスの先に停めてあるリムジンまで案内してくれる。
リムジンの前にはいつものように執事の兜悟朗が控えており、嶺歌と形南が近づくと車の扉を開けてくれた。
「お早う御座います和泉様」
「おはようございます。いつも有り難うございます」
「とんでも御座いません。どうぞこちらへ」
兜悟朗は紳士的な笑みを向け、車内に入るようにと誘導してくる。
形南も「お先にお乗りになってね」と背後から言葉を掛けてきたため、そのままリムジンの中に乗り込んだ。
そして素早くしかし丁寧に扉が閉められると続いて形南が乗車し、最後に兜悟朗が運転席に着席する。
そして目的地へと車が動き始めた。
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