第四十九話『確かめたい令嬢』

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 また、嶺歌(れか)が平尾への呼び方を変えていた理由が気になっていたのも事実だ。  なぜ君付けで呼んでいた嶺歌が、急に平尾を呼び捨てにしていたのかは気になる。噂を信じてなどはいないが、二人の仲が良くなったタイミングと合致するというのも気にかかる理由に含まれていた。  しかしこのような疑問があっても嶺歌が兜悟朗(とうごろう)を好きでいる事実や、平尾が形南(あれな)を好いてくれているという事に関しては確信を持っている。ただ本当に知っておきたいのだ。  第三者からの報告ではなく、形南の推測でもなく、平尾自身の口から真実を。  だが今回の件で平尾には引かれてしまうかもしれないという事も覚悟はしていた。  自分の知らないところで勝手に身辺調査をされていたら、いい気分はしないだろう。それは初めて彼を調べた時から感じていた事だ。  後悔はしていないが、平尾が気分を害してしまっていたら謝罪する以外の選択肢がない。  形南はそんな様々な感情を心に浮かばせながら平尾の言葉を待っていると、彼はこちらのその言葉に再び驚いた表情を見せ「それはないよ!!!」と声を大きく発してきた。 「その噂はホントにデマで、俺はその…和泉さんは友達だよ。好きとか有り得ない」  次第に声はいつもの大きさに戻る平尾であったが、形南は彼のいつもとは違うその話し方に驚いていた。そう、彼は言葉を全く詰まらせていないのである。 「実はあの日、和泉さんが噂を立てたクラスメイトにそれは勘違いだって一喝してくれたんだ。俺はそれを見て凄いかっこいいと思った。でもさ…それが恋かって聞かれても絶対に違うって断言できるよ」
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