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「つ、付き合うことになった」
休み時間になると平尾が嶺歌のクラスまで足を運び、報告をしてくれた。
嶺歌はその報告を既に形南から聞いていた旨を話し、おめでとうと心からの祝福を口にする。
「いつになるかなってずっと思ってたけど、ホント嬉しいよ」
そう言って嶺歌はじゃあまたねと彼に手を振った。
すると平尾は最後にこのような言葉を口にしてくる。
「い、色々ありがとう……和泉さんの恋も、応援してる」
平尾がそう口にし、直ぐに自身の教室へ彼が戻って行くのを目で追いながら嶺歌は思った。自分も頑張ろうと。
(兜悟朗さん、次はいつ会えるかな)
まだ下旬の夕食会までは遠い。
それまでに一度くらいは会いたいものだが、彼も多忙な身であるがゆえそう簡単な話ではないだろう。それに、付き合ってもいないのに会いたいと言うのも何だか変な話だった。
兜悟朗には会いたいが、気持ちはまだ隠しておきたい。
しかし洞察力に長けている兜悟朗であれば嶺歌の気持ちに既に気付いている可能性もあるのだが、その時はその時だ。
とにかく今は少しでも兜悟朗と会う時間を確保したい。そのような事を思いながら嶺歌は授業を受けていた。
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