第一話『謎のお嬢様』

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 だが、人間の中で悪事を働く者は少なからず存在しているのも事実である。  その際はその人物と対峙し、無力化する事が必須となる。そういった依頼も七対三の割合でくることがあった。  そして本日は慈善活動の方である。  嶺歌は迷子になり困っている小学生の男の子をすぐさま見つけると彼を抱きかかえ、自宅へと送り届けた。  男の子の住居の位置は魔法協会からの特殊な提供で知る事ができる。  依頼が終了した時点でその人物の個人情報は確認できなくなる仕組みとなっているのだ。  魔法少女の存在は世間には内密であるため、男の子の記憶はすぐに消去される事になる。とは言っても、それは嶺歌が消去を行う訳ではなかった。  魔法協会の自然能力で、魔法少女に無関係の人物は勝手に記憶を取り除かれるという仕組みになっている。  そのため嶺歌が直接何もしなくとも、男の子の前から消えた瞬間に彼が魔法少女に助けられたという記憶は自動的に削除され、それ以外の記憶だけが残される様になっている。  このような流れで魔法少女の存在は世間的には一切認知されていなかった。
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