第七話『忠実な執事』

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第七話『忠実な執事』

 それから数日が経ったが平尾と友人関係になった事以外に変わりはなかった。友人になったとは言っても休み時間の度に会いに行って談笑をするような間柄ではない。廊下ですれ違ったりした際に挨拶を交わす程度の関係だ。  平尾が積極的にくるような性格でない事は理解しているが、それを抜きにしても彼もそのような関係で十分のようだった。嶺歌(れか)にとってもそれは都合が良い。深く関わらずに済むのであればそれに越したことはないからである。形南(あれな)の意向を無視したくはないが、これが嶺歌にできる限界地点であった。  形南とは定期テストが近付いてきていた為会う事が出来ずにいた。互いにテストを終えてから遊ぶ約束を交わしているところだ。  以前遊んだ時に知った事だが、形南は嶺歌の思っていた通り優秀なお嬢様で、成績も常にトップに君臨している様だった。  そんな形南の邪魔をしたくはない。彼女が落ち着くまでは連絡も控えておこうと最近はレインも送っていなかった。流石に形南もテスト勉強で忙しいのか彼女の方からも連絡は途絶えていた。 (いつもの日課も終わったし今日はあたしもテスト勉強するかな)  今日は休日だ。魔法少女の姿から人間の姿へと戻った嶺歌はそのまま椅子に腰掛けると机に置いていたペットボトルの水を飲む。  そうしてそのまま勉強に取り組もうと机に向き始めると突如自宅のインターホンが家中に鳴り響いた。郵便だろう、きっと母が対応してくれる筈だ。しかしそう思っていたのも束の間、母に自分の名を呼ばれる声が聞こえてくる。  嶺歌は立ち上がり部屋を出ると急いで玄関の方へと足を進めた。進み始めた途端に二度目のインターホンが鳴り響く。母がマンションのエントランスを解錠したのだ。そんな事に気付きながら玄関に到着すると、そこには予想もしなかった来客が一人、立っていた。
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