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「れか〜! おはよう! そのリボンやっぱ可愛いね〜!」
「嶺歌ちゃんおは!! 今日もきまってるう〜」
「レカレカ〜! 聞いてよ昨日さあ」
学校へ行くといつものように友人たちが話し掛けてくれる。
嶺歌は一人一人にきちんと返事を返しながら朝の登校を迎えた。今日もいつも通りの日常だ。
嶺歌を慕ってくれる友人たちも楽しげに話し掛けてくれるクラスメイトたちも皆、嶺歌は好きだった。
「そう言えばさ、嶺歌は彼氏いつ作るの?」
朝礼が始まる前に友人の沢江詩荼が尋ねてくる。彼女のこの質問は前にもされた事があった。
「彼氏とかいらないよ。あたしは友達がいるだけで満足してるから」
「え〜〜!! 勿体無い!!!」
そう言って嶺歌の肩を軽く叩いてくる。
詩荼には交際して五ヶ月になる彼氏がおり、恋人の良さを実感しての発言なのは理解していた。
だが嶺歌は本当に心から異性との交際に興味がなかった。別に男が嫌いだというわけではない。
現に男友達は多く存在し、休日に遊びに出かけたりもしている。二人きりで、という状況だけは意識的に避けてはいるが、それ以外では異性との交流も多い方だ。
大勢の友達に恵まれ、魔法少女というもう一つの姿で人々の生活を守る。きっとそれだけで満足しているからなのだろう。
恋人という特別な存在を作りたいとは思わなかった。
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