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「この世には、悪い影があるんだよ。影といっても誰しもがもっている。そう、だいたい後ろに憑りついているアレさね。ほれ、あんたの後ろにもあるだろ」
幼い頃におばあちゃんは俺に真顔で言っていた。
今では覚えているような覚えていないような……そんな感じだ。
おばあちゃんの言葉は続く。
「そいつが突然ナイフを振り回して本体を傷つけてきたら、どうなる? 影洋ちゃんはたちまち怪我をして倒れるだろうさ」
俺は幼い頃からおじいちゃんとおばあちゃんと妹と暮らしていた。両親はいない。物心ついた時にはすでにいなかったんだ。子供の頃は、おばあちゃんの影の話が俺をいつも怖がらせていた。
「あんたの両親はなあ……二人とも影に殺されたんだよ」
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