第一章 近所を見に行こう

3/18
9人が本棚に入れています
本棚に追加
/95ページ
 ニュースキャスターのいる下の字幕に、次はお天気コーナーと書かれている。 「ふーむ、そうですか。今後ますます不景気になるかも知れませんね……。あ、次は天気予報ですね。このところ寒い日が続きますねえ。それでは、小春さん。今日の天気はどうですか?」  ニュースキャスターの一声の後で、場面が変わった。何故か近所の比水(ひすい)公園が映っていた……。 「おはようございますー。今日は、比水公園に子供たちと来ていますよー。それと、今日の天気は晴れ時々……あれれ? 春ですね……」  気象予報士の後ろには子供たちの平和な笑い声の中で、気象予報士が不思議なことを言っている。  場所は、ここの近くにある比水公園だ。 「へえ、そうですか。……次は、経済のニュースです。中東の経済状況が……」     何故……比水公園で……それに春……?  一体……?  おかしいだろ?  外の闇の中から……はあ?  桜の花弁が落ちているーーー??  俺の家の隣は比水公園だった。そこの桜の木が満開のようだ。 「うーんっ! 綺麗な夜桜ッスね?」  俺は呆れて冗談を言うしかなかった。風に乗って桜の花弁がガラス窓の外でひらひらと舞い落ちている。 「おにいちゃーーん! 遅刻だよーーー!! なんで起こしてくれないのーー! おにいちゃんバカ!」  その時、妹の(ひかる)の絶叫が二階から降ってきた。  あれ? もうこんな時間か?  いつもの妹を起こしてやることを忘れてた。  数分後。慌てて夜の外へと二人して駆け出していた。 「光! 朝食は優しい兄である俺のトーストだ!」 「ほりがとう! ほひいちゃん!」  もぐもぐと俺のフレンチトーストを走りながら瞬時に食べる妹を置いて、ひとまず公園に様子を見に行くことにした。
/95ページ

最初のコメントを投稿しよう!