第3話 調査

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 ──書庫室の本を漁り、いくつかわかったことがいくつかあった。  もともとこの国は聖女の力で繁栄した国であり、初代国王の妃がその聖女だった。  そして聖女はこの国の生まれや育ちではなく、どこか異世界の人間であり召喚によってその聖女はやってきたのだという。  つまり、この国では「聖女」は特別な存在でありその聖女は転移によって来ている可能性が高い。  そしてもう一つ、記録書によれば現王妃はただの後妻ではなく、もともとは王の第二夫人の立場であった。  亡くなってる元王妃は今から19年前にユリウス様を出産した後すぐに亡くなっている。 「要するに正当な後継ぎが誰であるか、王位継承権の順位をエリク様、ユリウス様で争っている可能性が高い」  書庫室の分厚い本を抱えるのがしんどくなった私はそっと元あった場所に戻して階段を降りる。  すると、窓から見える裏庭のほうで若い男性とユリウス様が剣の稽古をしているのが見えた。  ユリウス様のその動きは素人目で見てもすごいことがわかる。  そういえば、エリク様は「王子に剣は必要ない」って前に言ってたな。  あまりにも対照的すぎて、思わずユリウス様のほうが次期国王に向いている、慕われるのかな?なんてふと思ってしまった。  そしてこの数日後、事態は大きく動いていくことになる──
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