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「エリクさま、これは?」
「異国の渡来品でね、オルゴールというらしいんだ。このねじを巻くと音が鳴る」
そう言ってネジを巻くと、箱から何とも言えない高く綺麗な音が鳴り響きます。
わたくしはその音色をもっと聴きたくなって木箱に耳を近づけると、心地よいリズムを奏でてくれます。
「すてき……」
「これをリーディアに渡したくて」
「え? これをわたくしにですか?」
「ああ、受け取ってもらえるかい?」
エリクさまは、まばゆいほどの微笑みと共に音が鳴り終わった木箱をわたくしに差し出しました。
わたくしはそっとありがたく受け取ると、大事に胸元に近づけながらエリクさまにお礼を申し上げたのです。
二人で過ごす時間はあっという間でエリクさまはご公務に戻られました。
わたくしはとても名残惜しいですがそっと手を振ってお見送りをいたします。
「また、来るよ」
「お待ちしております」
そう言って扉を閉めたあと、今しがたいただいたオルゴールの音色をもう一度聴きたくて、わたくしはねじを回したのですが思いのほか力がいってうまく回せません。
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