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僕たちは小さな個室から東京の街を眺めていた。
周りに広がる東京の夜景は、大規模なイルミネーションのようで綺麗だ。
横に座っていた彼女が言う。
「観覧車なんて久しぶりだね。あなたが交通事故にあって以来よね」
「うん、そうだよ。もう一度乗りたかったんだ。君と」
彼女は照れくさそうに両手をもじもじしながら、頬を赤らめる。
その表情を見て、僕は意を決した。
「春香さん!僕と結婚してください!」
素直な言葉と同時に、黒いリングケースを開けて指輪を見せる。
心臓が鼓動を早める。
静寂が2人を包み込む。
数秒後、彼女が僕に言った。
「こちらこそよろしくお願いします!」
この日、僕たちは夫婦になった。
僕が生死の境で彷徨っていた世界で暮らした日々。その最後となる特別な1日から、僕の愛おしい日常は再スタートを切った。
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