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 最初は毎日のように、この虹の絵を見て、皆んなの感想を噛み締めていた。だけど、だんだんもっと感想が欲しくなっている私がいた。  それだけじゃない、前に描いた星空の絵、この家から見える風景の絵。  例えばだけれど、この絵を人間の誰かが見たらどう思うのかしら? 欲しい人は居るのかしら?  例えばだけれど、街に出て画商さんに渡したらどうなるかしら? 、この絵に価値が付くのかしら?  そんな想像をして、私の心は高鳴った。  でも、私が街へ? そんな想像をすると、心に拒否反応が起こる。これまでの魔法使いの嘲笑、魔法使いでない人達が見せる軽蔑の眼差し。もう、あんな目に遭いたくない。でも、誰かたった1人でいい。私の絵を見て欲しい。  一晩考えて、私は結論を出した。  次の日の朝一番に。私は、庭から掘り起こした土、古着、私の髪の毛を用意した。 「土よ、私の分身となれ!」  動かした指に合わせてゆらゆらと土が動き出し、私と同じくらいの女の子の形になる。  最初に出来たのは不恰好な女の子だった。それは2、3歩進むと土に戻っていった。  もう一度作る。  2メートルくらいの巨大な女の子は、歩くたびにドス、ドスと地面を揺らしてリス達を驚かせた。 「止まりなさい!」  土人形は止まらない。そしてそのままうちの壁に激突して土に戻っていった。  いつもの私なら、落ち込んで、悲しくなるけど、今日は違う。ダメなら、やり直せばいい。  私は試行錯誤した。喋らない人形でもいい。とにかく、私の代わりに街へと行ってくれれば。  21回目で出来上がったのは、10歳くらいの女の子だった。肌は少し土っぽいけれど、私のスカーフを被せればあまり顔は見えないはず。 「前に進みなさい」  その子は、言われた通りに前に進み、家の壁の前で止まった。 「コッコ達の所へ」  そう命じると、女の子はコッコ達の所へ。途中、足場が悪いところもあったけれどなんとかコッコ達の所へと辿り着いた。 「へえ、アリア、やるじゃん」  コッコは笑いながら言った。 「アリアさん、この土人形に何をさせるのかい? 喋れないのだろう?」  私は、ポケットから紙切れを取り出した。 「『絵を描きました。もし買ってくれるのならこの子にお金を渡してください。要らなければこの子に絵を戻して下さい』って書いたの。この紙を見せればいけるはず」 「でも、売れなかったらどうするのさ。また落ち込むわけ?」  コッコは言った。  私は、少しだけ笑った。 「いいの。ただ、絵が好きな人に見せたいだけだから。そりゃあ、売れたら嬉しいよ? でも、いいの。この絵が、誰か1人にでも見てもらえたらそれだけで」
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