第二章 腐女子と初めてのデート

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ー紀里谷 誠ー 858f75c3-bd2c-40b4-993a-1f08dd254b06 背は高く、185センチはあるだろう。 精悍な男前で、学生時代は、アメリカンフットボールをしていたらしい。 大学も三流大学出身の優介と違い、有名私立大学を出ている。 何故に、こんな弱小出版社に就職したのか、謎だった。 その紀里谷が、寝ぼけ眼で優介を見て、あくびをした。 「優介~、お前が昨日、急に休むから、オレの仕事が増えたんだよ。昨日中に入稿しなけりゃいけない原稿があって、おかげで泊まり込みだ」 そして、奥の机の方から、声をかけられた。 「佐倉、はじめてのお見合いはどうだったか?」 声の主は、編集長の永井一夫である。 永井は、お気楽な性格の中年男だ。 ゴルフクラブを持って、スウィングの振りをしながら、訊いてきた。 「どうだ? 美人だったか?」 それを聞いて、紀里谷が、段ボールを脱ぎながら笑った。 「編集長、この優介みたいな平凡な奴には、平凡な女しか見合い話なんて来ませんよ、ははは~」 優介は、それを聞いて、ムッとした。 なので、言ってやった。
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